くちばしコンサルティング

人事や経営を学べるブログ。中小企業診断士・人事コンサルタント山本遼が書いています。

部下がミスの報告を後になってからしてくるのには、「気まずい」以外に理由があった? ※簡単なテスト付

上司から部下に報連相は早めにしてくれ」と口を酸っぱくして言っているにも関わらず、部下からの報告はいつも遅い。それも、悪い報告に限って遅い…。そして苦虫をかみつぶしたような顔になって、酸味と苦みが合わさって塩っぱい対応を取らざるを得ない・・・。
 
これには、当然部下が「気まずくて話しにくいから」というものがあります。まぁ、人間なので判らなくは無い感情です。そこで、素晴らしい上司と言われる方々は、悪い報告があっても怒鳴りつけることをせず「まずは報告してくれてありがとう。じゃあ、一緒に謝りに行こうか」という投げかけをされています。むやみやたらに怒られないというのは非常に安心感につながります。多くの場合は、何回か部下にこういう経験をさせることで、上司と部下との間に信頼関係が生まれ、問題が大事になる前に部下から報告が上がってくるようになります。
しかし、そうやって部下に優しく接している上司に対しても、部下からのミスの報告が遅くなるというケースがあります。それは、上司の行なう人事考課に問題がある可能性があるため、部下が敢えて報告を遅らせている、というものです。
 

人事考課の話

人事考課は当然客観的にすべきものです。しかし、人間は思い込みによって客観的でない考課をしてしまうケースがあります。 人事考課の思い込みの主なものは好き嫌いやハロー効果(特定の良いところが目について全部評価を良くしてしまうこと)で、これについては割と色んなところで触れられていますのでご存知の方も多いでしょう。これらの、人事考課上の思い込みのことを「考課エラー」なんて言い方をします。
 
考課エラーの中に、「期末誤差」というものがあります。これは、人事考課表を記入する時期(4月とか10月とかでしょうか)に近い成果を強く思い出してしまい、その成果が良いか悪いかによって全体の考課が歪んでしまうというものです。
たとえば、人事考課の期間の成果が同じでも、以下のふたりだと、Aさんの方が評価がよくなりがちです。
Aさん:3月や9月に良い成果を出した
Bさん:5月や10月に良い成果を出した

 

同様に、以下のCさんとDさんだと、Dさんの方が評価がよくなりがちになります。
Cさん:3月や9月に大きなミスをやらかした
Dさん:5月や10月に大きなミスをやらかした 

 

これは、Aさんの3月の成果は4月に思い出しやすく、Cさんの3月のミスを思い出しやすくなったからです。
 

期末誤差の何が悪いか

さて、こんな期末誤差は何が悪いのでしょうか? 上司が確実に期末誤差を起こしてくるのならば、部下が取るべき行動は簡単に予想できます。
「3月に成果の報告をする」
「4月にミスの報告をする」

 同じ成果を報告するにしても、4月に報告するのは損なわけです。だって忘れられてしまうのですから。同様に、ミスを報告するなら人事考課が終わった後にすべきです。4月に報告すれば、どうせ次の人事考課の時には忘れてしまうのですから。

 

このような理由から、ミス隠しが起きることになります。
 

期末誤差を回避する為には

期末誤差によ成果報告の期末送りやミス報告の期初送りを避ける為には、「期末誤差は絶対に起こさない」という体制を作っておくことが必要です。人事考課をするときに、あなたは○月にこういう成果があった、というように、事実+時間で評価をしていることを明確に伝えることが大切になります。そのためにはどうしたらいいかというと、簡単にメモを取っておくと良いです。自分宛にメールを送るようにするとかでもいいんじゃないでしょうか。メールボックスで時系列に管理出来ますからね。
 

あなたは大丈夫か簡単に確かめられるテスト

少し実験をやってみましょう。今は2018年の11月ですので、2018年に起った事件について思い出してみましょう。以下の事件は何月に起ったことでしょうか?(ググらずに回答してください)
 
1.日大タックル事件
3月 4月 5月 6月 7月
 
2.ボクシング山根会長の事件
4月 5月 6月 7月 8月
 
→正解は記事の最後に
 
こんなの覚えているわけ無いって? じゃあ、皆さんの部下の今季一番の活躍を思い出して、それが何月か書いてみてください。 それから、それが本当は何月だったか調べてみてください。
意外と合ってない人も多いのではないでしょうか?これが、4月と5月の勘違い程度の話なら良いですが、3月と4月だったとしたら、うっかり前年度の評価を再度今年度にも計上してしまうことになります。
 
 

聞く順番だけでも影響を受ける

また、こんな調査もあります。 「あなたの幸福度はどれぐらいですか?」と調査したものです。 調査方法は二つです。 
 
1つめは
「あなたの幸福度を10段階で評価してください」
「あなたは最近デートをしましたか?」

 と聞いています。

 
2つめは
「あなたは最近デートをしましたか?」
「あなたの幸福度を10段階で評価してください」

 と聞いています。

 
最近デートをしたかどうかの質問の順番を変えただけなので、幸福度に影響は無いはずです。だから、1つめの実験では、幸福度とデートの有無には相関は見られませんでした。しかし、2つめの実験では有意に「最近デートをしたと回答した人は幸福度が高く/していないひとは低く」出ました。つまり、デートをしたかどうかを事前に思い出したため、幸福度がデートの有無に影響を受けたわけです。引っ張られてしまうんですね。
 
 

まとめ

・期末誤差を起こすと、部下の成果報告が遅くなり、ミスの報告は後回しにされやすい
・時期の記憶は忘れやすい
・ベタながらメモを取ることはかなり有効
 

こたえ

正解は5月/8月です。(記者会見ベースで)