くちばしコンサルティング

人事や経営を学べるブログ。中小企業診断士・人事コンサルタント山本遼が書いています。

良い人事制度ってどんな制度?

昔、機械メーカーで全力でやっていた時に「今の人生では完璧ではないから もっといい制度にしてほしい」というのが依頼を受けたことがたくさんあった。多分どこの会社の人事担当者も言われたことがあるんじゃないかと思います。

 

結論から言うと、完璧な制度というものは世の中に存在しませんというのもどんな制度にもいいところと悪いところというのは存在しているからです。

 

報酬制度の場合

例えば報酬制度では、最近年齢給(20歳はいくら、30歳はいくら、と年齢で給与を決定する方法)という考え方はあまり使われなくなっています。ただ年を取っただけで 給料が上がるという仕組みだと、個人の成長や業績を上げようとはなりにくいのは当然だからです。まあ、時代遅れと言えば時代遅れの感があります。私もあまり好きではないので、多分これから制度作成を依頼いただいても積極的に入れることはありません。「年を取れば取るほど成果が上がる」という業界があるならまだしも、今のところそいういう業界には出会ったことがありません。

 

ただ、そんな年齢給制度にもいいところがあるといえばあります。例えば能力や行動成果に従って給料が支払われる仕組みにしてしまうと、来年の給料が計算できなくなるという人が一定数存在するためです。つまり将来の給与がわかるから人生設計が立てやすい制度であるといえます。また、ベテランになればなるほど給与が上がるので、若手の内は損をしていても転職をするのは辞めようと考える人が出るというのはある程度予想できるところです。

 

評価制度の場合

他にも。評価の記号の数も影響を与えます。多くの企業では S A B C D などの形で5段階で評価することにしていることがあります。しかし、こうした奇数段階で設定している企業が多くては 実は評価が B 評価に固まってしまう現象が見られ増す。いわゆる中心化傾向ということに悩んでいる企業が多いわけです。

中心化傾向を避けることを目的に、評価の分布を強制的に決めるというやり方もあります。(B評価は全体の50%までとする!とか)しかし、実は偶数段階にするだけで中心化は避けられます

 例えば SABC にすると、真ん中というものが存在しなくなるので中心化傾向は避けることができる。つまり 今までなら なんとなく B 評価であると思っていた人でも真ん中がなくなってしまったので平均より上か平均より下かということを選ばざるを得なくなるので、少なからず中心化傾向は避けられるわけです。

 

デメリットを塞ぐための制度

 逆に、デメリットをふさぐために色々制度を複合的に入れようということで、別の制度を入れる…としていくと、管理コストが増えます。ルールを増やせば増やすほどミスが発生しやすくなり、確認のための人員を増やす必要が出るからです。

制度を増やすと、一定の効果はあるものの、運用しようと思うと手が掛かります。管理部門の専任者をおける企業なら導入しても良いかなと思いますが、小さい企業でやると手が回らなくなったり有名無実化してしまったりするかもしれません。

 

結局、絶対的に良い制度というのは存在しない

結局、絶対的に良い制度というのは無いわけなんですね。あるなら多分全ての企業が導入していることになっているはずなので、当然と言えば当然です。じゃあ良い制度がないなら、人事制度は適当で良いというわけではありません。

絶対的に良い人事制度は存在しなくとも、「目的を達成するために適した制度」はあります。

 

メリットとデメリットを考えると、「判断付かないよ!!」となってしまうことが多いです。そこで思考停止してしまって、「まぁ、賛否両論ありますからねー」とか言ってても仕方ありません。(ごまかしたいときはこの手を使うことはあります)

 

 じゃあ、どうやって判断したらよいか?制度を決定するときの鍵は目標を達成するために適した制度がどうかということを考えるのが必要なんじゃないかなと思います。

だってそうしないと、Aさんが反対って言っているから制度を変えたらBさんから不満が出た、みたいなことが起きるわけです。対症療法的に制度を作ったり変えたりしても、全員が満足する状態になることなんて本当に稀です。

 

目的別 良い制度 

例えば創業すぐなど「やり方が決まっているわけではないがとにかく成果をあげてほしい」、「短期的に従業員に数字を出してほしい」と考えている会社であれば報酬体系の設計は 成果主義が多いのかもしれません。

研究開発や管理部門などのように「短期的に結果が出るかどうかは分からない」「すぐに数字に直結するかはわからない」から、とにかく能力を伸ばしてほしいという考えがあるのであれば、能力主義や行動主義と言った制度を採用するのが良くなるかもしれません。

 

このように制度を採用するという時は、その制度自体がいいか悪いかではなく、「企業にとって何をするために適した制度かどうか」ということを考えるのが必要になります。

 

良い制度はない、という話をしましたが、悪い制度というか、導入しても効果を得にくい制度というのはあります。それは抽象的すぎる制度。制度の狙いが伝わりにくいやつですね。

例えば等級数が 何十個もあって、真ん中の等級と真ん中の等級より一つ下の等級の差が不明確。 どうすれば昇格できるのかが明確ではないというような状態だったりする。

すると、それは従業員にとってどういう行動を期待されているのかが分かりにくいので効果が得られにくくなるということですね。

 

何を成し遂げたいか・どうなりたいかがまずあって、それを制度でどうかなえたいかという考え方をすると良いかもね、というお話でした。