くちばしコンサルティング

人事や経営を学べるブログ。中小企業診断士・人事コンサルタント山本遼が書いています。

ファクトフルネス分析 データと事実から自社賃金を知る

近代中小企業 2019.08月号

ファクトフルネス分析 データと事実から自社賃金を知る

 

 

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自社給与体系が同業他社と比べて適性なのか、制度の想定通りの運用となっているかをExcelを使って定量的に分析する方法を解説。Excelの使い方が判らない人・数式の意味がわからない人でも理解しやすいよう、細かなステップに分けて丁寧に解説します。

 

目次:

1.イントロダクション:賃金カーブとは何か・何が判るのか
2.自社の賃金カーブの作り方
演繹法的な書き方
演繹法的な書き方で算出した賃金カーブのメリット
演繹法的な書き方で算出した賃金カーブのデメリット
帰納法的な書き方
帰納法的な書き方で算出した賃金カーブのメリット
帰納法的な書き方で算出した賃金カーブのデメリット
3.賃金カーブ分析
3-1.自社の年功序列具合と昇級の程度
年功序列度合いの測り方
昇給程度
3-2.制度設計時の想定との乖離
3-3.同業他社・他業種との給与水準の乖離
3-4.労使交渉の昇給原資
3-5.生涯年収

 

 

 

 

詳細は以下よりご覧ください。

drive.google.com

 

 

本記事は近代中小企業様との契約に従い、公開期限が到来したため公開しているものです。

相手の期待値をコントロールする質問のテクニック

人間には、「自分が思い出しやすいことを自分にとって重要なことだと錯覚してしまう」という特徴があります。

 逆に言うと、なかなか思い出せないことは重要では無いと考えてしまうわけです。

 例えば、箇条書きで構いませんので、今抱えている仕事を書き出してみてください。最初の方に書けた仕事はきっと重要だと認識していることでしょう。一方、最後の方に書いた仕事はどうでしょうか。「まぁ今は私が担当しているけれど、本来私がやらなくても良いことだし、出来れば誰かに引き継ぎたいなぁ」と思っているようなものではないでしょうか?

 

 このように、【思い出しやすい=重要】【思い出しにくい=重要ではない】と考えてしまう性質を使うと、相手の期待値をコントロールすることが出来ることがあります。

 

退職しようとしている部下に対して

 例えば、会社に不満を持っているから辞めたいと考えている部下があなたのもとに相談をしに来たときに投げかける質問として、以下2パターンが考えられます。

A:「ウチの現状についての不満があるってことだけど、具体的に3つ挙げてくれる?」

 

B:「ウチの現状についての不満があるってことだけど、この際だからできる限り多く挙げてくれる?あ、今まで何回かこういう話をしてきたんだけど、こういう質問をした場合、10個以上出る事が多いかな」

 

 Aの質問に対しては、どのような人でも簡単に挙げることができるでしょう。しかし、Bのように10個となるとどうでしょうか?4-5個まではテンポ良く出たとしても、すぐには思いつかないことが多いのではないでしょうか。

 

 そうすると、相手の頭の中では「普通10個ぐらい思いつくらしいのに、私は5個しか思いつけなかった。と言うことは、自分はそんなに不満に思っていないのではないか?」と考えてしまうわけです。

 

 ※退職引き留めの効果を保証するものではありませんので悪しからず

 

フィードバック面談での活用

 このテクニックは、人事考課結果のフィードバック面談の時にも有効だったりします。

 

 得てして、部下は自己評価が高めなものです。5段階評価なら、だいたい上から2番目(通知簿なら4)ぐらいに自分を位置づけてきます。

 「自分は良い評価を受けているに違いない」そんな自信満々な部下に対して、あなたはやや低い評価をつけました。 そして、今からその評価を伝えなければならない…考えただけでも気が重くなります。

 最近よく言われる方法だと自己評価を聴いて→あなたの評価を伝える という流れです。この流れ自体は必ずしも悪くはありませんが、部下の自己評価とあなたがつけた評価に差がある場合、きっと「アナタの評価を伝える」のステップではあなたは非常に雄弁になることでしょう。

 「確かにあなたは今回活躍をしてくれた。でもね、○○というところでは大きな失敗をしているし、△△も満足だったとは言えない。それに~~~~~」 

 部下はアナタの話を聞きながらも、ヘイト感情を高めてゆきます。

 「だから、キミには■■という取組みをして欲しいのです」 

 ここまでくると、あなたの指導は部下の耳に届くことはないでしょう。

 

 そんなとき、このテクニックを使ってみてください。

「今回の考課期間で悪かったなと思うところを3つ、良かったとおもう点を10個挙げてくれる?」 

  多くの部下は10個も答えることは出来ません。そのため「思ったより悪かったのかも」という気持ちを作ることが出来ます。そういった下地をつくっておくことで、あなたの評価を腹落ちさせ、指導に活かすことが出来るかもしれません。

 

是非、試してみてください

 

 

賃金カーブ分析のノウハウ(発展版)

本記事は前回記事の賃金カーブ分析の発展番です。先にこちらを読んでいたく事をお勧めします。
 

同業他社との比較

 自社の賃金カーブに加え、厚生労働省が提供している賃金構造基本統計調査のデータを用いることで、同業他社や他業種と比べ、自社の給与が十分なのか・見劣りするのかを分析することが可能です。こちらのやり方も、今までのやり方と同様、自社の賃金カーブに賃金構造基本統計調査のデータを重ねることで分析することが可能となります。

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 賃金構造基本統計調査は、業種・地域・企業規模毎のデータを取得することが出来ますので、必要に応じて使い分けると良いでしょう。
 例えば上記のような形になった場合、入社直後は他社と給与が変わらないが、30歳前後から差が明確となっているということがわかります。このような状態を放置していると、入社から手塩に掛けて育成し、働き盛りになった頃に離職してしまう…という問題が発生してしまうわけです。
 
 

年功度合い

 多項式近似曲線を2次関数で表示した際のAx2+Bx+CのAの値によって年功度合いをある程度推し量ることが出来ます。
 最初のAが正であるということは、下に凸(懐かしいですね)の賃金カーブであると言うことなので、最初のウチは昇給し辛く、後になってからぐぐっと上がる昇給の仕方をするということです。

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 つまり、20-30歳の時の昇給の仕方より、50-60歳の昇給の仕方の方が大きくなると言うことでもあります。(≒年功的)
 また、年功的な運用でなくとも、管理職昇格時にかなり大きく昇給する場合、後からの上がり幅が大きくなるためこの形になることがあります。
 
 逆に、Aが負であるということは、上に凸の賃金カーブであるということなので、若いうちの昇給具合が大きいと言うことでもあります。

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 そして、Aが0に近い場合は、1次関数的ということなので、どの年代でもほぼ同じぐらいの昇給をすると言うことになります。この図では右肩上がりで記載していますが、全く昇給しない場合(AもBも0)も同様です。

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まとめると:

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年功的・非年功的 どちらが良いの?

 Aが正の方がよいのか(年功的)・負の方が良いのか(非年功的)については、一概にどうとは言えません。企業の考え方次第です。これが問題になるのは「年功式で人が確保出来なくなってきた」ときと「意図してないのに年功的になっていた」という場合です。
 
 年功式で人が確保出来なくなってきた ということについては、多くの企業で見られています。転職がアタリマエになってきた昨今、年功的昇給を設計している企業は、非年功昇給をしている企業に比べて若手の給与が見劣ります。そのため、若手の離職や採用力の低下に繋がりやすくなります。
 
 意図していないのに年功的になっていた というのは、主に制度の運用が問題であることが多いです。制度としては年齢で昇給しないように作っているのに、現場が勝手に年功昇給的な運用をしているということですね。 例えば、A評価で9000円 B評価で6000円 C評価で3000円 D評価は昇給無し、としている企業において、「本来であればD評価が妥当だけど、昇給しないのはかわいそうだからC評価にしておこう」とかするような運用がはびこると、それはすなわち年功昇給が発生するわけです。
 
 
 

昇給度合い

 次に、多項式近似曲線を2次関数で表示した際のAx2+Bx+CのCの値によって昇給程度をある程度推し量ることが出来ます。
 
 Cが最終的な到達地点(定年が60歳なら60歳時点の給与)とほぼ変わらないということは、その企業に何年居てもそれほど給与が上がらないということになります。

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 逆に、Cがマイナスになるようなことあがれば、入社してからの給与の伸びがかなり大きいということとなるわけです。

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 ほぼ昇給しない企業であるということは、その企業の中で積んだ経験が収益にほぼ影響しないと言うことでもあります。例えば、アルバイトで賄われているような職場はほぼ昇給がありません。(その仕事が悪いと言っているわけではありませんが、レジ打ちのような仕事は採用時点の給与から大きく変動することはありませんよね)
 
 

最後に

 このように、賃金カーブ分析からは、自社で顕在化していない様々な問題点を見つけ出すことが出来ます。
 
 最後にお知らせ。賃金カーブ分析について近代中小企業に寄稿することとなりました。2019年の8月号に掲載予定ですので、ご興味のある方は是非お手に取ってください。(書店売りしてないんですけどねー・・・)